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太陽光発電は、太陽の光を電気に変えて、その電気を家で使ったり、電力会社に売ったりするもので、設置すれば、あとは自動で動いてくれて、ほとんどメンテナンスする必要もありません。
2009年に売電価格が大幅に引き上げられて以降、急速に普及した太陽光ですが、現在では、年間消費エネルギー量0の家ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)実現に向け、新築住宅に設置するのがほぼ当たり前になってきています。
「需要は減っているし、売電価格も年々減っているが、そもそも、今から太陽光をつけて儲かるんだろうか?」そういった声もよく聞きます。
どのパネルを使うか、どんな業者に頼むか、どこへ設置するかなど、選択の仕方によって、投資した金額分を数年で回収できたり、20年かかっても回収できなかったりします。
雨漏りや故障で損しないためにも、パネル選びや業者選びはとても重要になってきます。
発電した電気を家で使ったり、余った分を売ったりする他にも、停電時に電気が使えたり、環境に良いなどのメリットがあります。
太陽光に求められるものはいろいろありますが、そもそも発電しなければ、どの要求にも応えられません。
「太陽光は得なのか?」
「どのメーカーのパネルがいいのか?」
「どうすれば投資した金額をより早く回収できるのか?」
「なるべく多く発電させたい」
「初期投資を安くしたい」
「どんな業者に依頼すればいいのか?」
「安心できる保証や補償を得るためには?」
「蓄電池は必要か?」
ここでは、太陽光で損しないため、なおかつ得するための情報についてお話しします。
また、太陽光の電池を貯める蓄電池についても、その特徴やメリットについてお話ししていきます。
目次:太陽光や蓄電池で失敗しないための5つの情報
1.太陽光は得なのかどうか?
・1-1 太陽光のメリット
・1-2 太陽光のデメリット
・1-3 太陽光の現状と将来性
・1-4 2020年現在、設置した場合の投資回収年数は?
・1-5 検証まとめ
2.太陽光で失敗しないために、より得するために
・2-1 失敗しないため、より得するための19の基礎知識
・2-2 設置後のトラブル
・2-3 トラブルを回避する、または、最小限に食い止めるための業者選び
3.どのメーカーがいいのか?
・3-1 メーカーごとのパネルの特徴 9社比較
・3-2 太陽光パネル特徴早見表
・3-3 目的に合わせたパネルの選び方
・3-4 その他架台メーカーを使用するメリット
4.太陽光設置後のこと
・4-1 太陽光のメンテナンス
・4-2 パネルの洗浄
・4-3 太陽光の移設
・4-4 太陽光の撤去処分
5.蓄電池について
・5-1 蓄電池の特徴
・5-2 蓄電池のメリット
・5-3 蓄電池のデメリット
・5-4 蓄電池は得なのか?
まとめ
太陽光のメリットはさまざまあり、設置する目的は人それぞれ違います。
ここでは、太陽光が得なのかどうか、メリット・デメリット、現状や将来性、投資回収年数などの角度から検証していきます。
メリット1.発電した電気を家で使え、電気代が安くなる
メリット2.発電した電気を電力会社に売ることができる
メリット3.災害時など、停電した時に非常用電源として使える
メリット4.設置した階の温度が変わる。夏4~5度涼しくなり、冬1~2度温かくなる
メリット5.環境に良い
メリット6.節税対策になる
太陽光を設置すると、電気を作ることができ、その電気を家で使えます。ただし、発電するのは太陽が出ている日中だけです。
太陽光には、「発電した電気を家で使い、余った分を電力会社に売る」余剰電力買取と、「発電した電気を全て売る」全量電力買取の2つの契約方法があります。
全量買取は、10kw以上設置しなければ契約できません。10kw以上設置する場合は、余剰と全量のどちらでも契約できます。2020年度から、10kw以上50kw未満の場合、余剰買取で3割自家消費するか、もしくは全量買取でパネルの下に作物を植える(ソーラーシェアリング)かしなければいけなくなりました。
2020年度現在、10kw未満の場合、1kwhあたり税込21円で10年間売電できます。10年後は売電単価が下がります。いくらになるかは未定ですが、現在、設置して10年以上経過した太陽光の売電単価は7.05円になっているので、同等の単価になるのではないかと思われます。
2020年度現在、10kw以上の場合では、余剰・全量ともに、1kwhあたり13円か14.2円(太陽光で年収1000万以上儲けた場合は13円、1000万未満の場合は消費税10%分を含めた14.2円)で20年間売電できます。
太陽光の余剰買取は、余った電気を自動的に電力会社に売るようになっています。余った電気を売らずに溜めておくためには、蓄電池を設置する必要があります。
太陽光に加えて蓄電池を設置した場合、蓄電池の契約内容によっては売電単価が下がる場合もあります。
太陽光と蓄電池を併設することで、停電時でもいくらかの電気をまかなうことができます。
太陽光のみの設置で蓄電池を設置しない場合ですと、太陽光自体は電気を溜めることができないため、停電時に電気を使えるのは太陽が出て太陽光パネルが発電をしている日中だけです。
しかも、発電した電気を全て使用できるわけではなく、最大で1.5kw分の電気しか使えません。(例えば5kw発電していたとしても、1.5kwしか使えません)
1.5kw(1500W)の電力がどのくらいかというと、
・電子レンジ500~1000W
・テレビ200W~500W
・冷蔵庫(450Lクラス)250W
・携帯電話の充電5W
発電した瞬間の電気しか使えませんから、急に空が曇ったり、雨が降ったりして発電量が下がったら、その間はほとんど使えなくなります。携帯の充電程度でしたら全く問題ありません。
東北の震災時、ポットで赤ちゃんのミルクを温めるのに役立ったという実例があります。携帯も、電波が届かなくても、LINEはつながるので役に立ったそうです。
太陽光パネルを屋根に設置することで、直射日光を遮って、夏の室温を下げる効果が出ます。
冬は、太陽光パネルが放射や冷却を抑制するので、部屋が若干暖かくなります。
エアコンの温度を1度変えることで、10%の節電につながります。
太陽光は、発電時に二酸化炭素を排出しません。
2018年のデータになりますが、日本全土で設置している太陽光の合計容量は約40GWになります。
火力発電に換算すると、年間約3200万トンの二酸化炭素排出量を削減できます。これは、約23億本の杉の木(日本全土の森林の17%)が年間で吸収する二酸化炭素の量に相当します。
メリット4の光熱費削減できる点や、省エネ意識が高まる点も含め、地球温暖化対策になります。
「製造や廃棄する分、エコではないのでは?」という意見もありますが、太陽光を製造して廃棄するまでの間にかかるエネルギーは、太陽光システムを1~2年稼働することで作り出すことができます。
環境対策については、国ごとに太陽光の製造方法の違いや、規制の違いがあり、製造時の二酸化炭素の排出量が異なったり、また、リサイクルの方法が確立されていないといった課題が残っています。
相続において、太陽光は節税対策になります。
太陽光の評価額は年々減価償却されていくので(耐用年数17年)、太陽光を所有している方が、財産の評価額が低くなります。
また、太陽光を設置するために借入れした人が、完済する前に亡くなった場合は、相続人がその債務を引き継ぎますが、相続税の評価額において、残高を債務控除としてマイナスにすることができます。
デメリット1.電圧上昇抑制で売電できないこともある
デメリット2.今後、出力制御がかかるかもしれない
デメリット3.固定価格買取後の売電価格が未定
デメリット4.パワーコンディショナーのデメリット
電気は電圧の高いところから低いところに流れます。太陽光の電気を売電する場合、太陽光の電圧が電柱の電圧よりも高くないと売れません。
電圧上昇抑制とは、電柱の電圧の方が太陽光の電圧より高くなることで起こる電気の逆流を防ぐため、パワコンが売電作業をストップさせ、いくら発電していても売れなくする状態のことです。
設置場所によって、全く抑制のかからない場所もあれば、数分だけ抑制がかかったり、中には何時間も抑制がかかってしまう場所もあります。
パワコンには、抑制がかかると赤く光る抑制ランプというものがついているので、昼間に発電していない場合は、抑制ランプを確認してみましょう。
また、パワコンによりますが、今までに抑制がかかった合計の時間が表示されるものもあります。
電圧上昇抑制がかかりやすいケースを以下にまとめました。
・トランス(電柱の上の方にある円柱の箱)のついた電柱から遠く離れている(距離があればあるほど、電気は流れる過程で電圧が下がっていきます)
・同一トランス内の太陽光をつけている家の中で一番トランスから遠い
・電柱から家までの電線の距離が長い
・引込点からパワーコンディショナまでの距離が長い
・家の近くに工場がある(工場が休みの日に電柱の電圧が上がる)
対策としては、まずで電力会社に電話連絡します。
そして、電柱の電圧を測定しに来てもらい、その結果で以下4つの対策を取ってもらいます。
しかし、これらの対策を取ったとしても、抑制が完全になくなるかどうかもわからず、対策工事をしてみなければどうなるかわかりません。
・電力会社に電柱の電圧を下げてもらう(地域によって下げてもらえない場合もあります)
・パワーコンディショナーの電圧抑制整定値を上げる(上げるには中電の許可が必要です。上げ過ぎると電化製品が壊れたりします)
・自分の家の引込柱にトランスを新設する(自己負担になります。30万円くらいかかります。それ以上かかる場合もあります)
・引込線や内線を太い線に張り替える(自己負担になります)
実際に抑制が起こるかどうかは、設置してみないとわかりません。
どうしても抑制をなくしたい場合は、蓄電池を取りつけて、発電した電気を家庭内で使うという方法もあります。蓄電池に溜められる電気の量は決まっているので、抑制を完全になくせるとは限りません。また、蓄電池は価格との兼ね合いもあり、儲けたいと思っている人には向きません。
太陽光の普及によって、電気の供給過多が起こり、電気の流れがバランスを崩して、変電所に負担をかけたり、逆流して大規模な停電を引き起こす恐れが出てきました。
安定した供給を行うため、または多くの電力を受け入れるため、電力会社は、電力需給調整を目的として、一部の発電業者の売電を制御するようになりました。
例えば「午前中の9時から12時まで売電は止めさせてもらいます」といった具合で、一日のうちの何時間か売電を制御されている人もいます。
メガソーラー(1000kw以上の太陽光)など大容量のパネルを設置している人の方が多く制御されます。メガソーラー1つ制御されれば、何百棟分の発電量がストップします。そういったことから、多くの電力会社の見解では、一般家庭が出力制御を受けるのは非現実的だということです。
今後出力制御が広まるかどうかは見通しが立っていませんが、現在では、出力制御がかかっている家庭はそれほどありません。年々配電設備も整ってきていることから、出力制御自体なくなるかもしれません。東京、中部、関西電力ほど出力制御の可能性が低いです。
10kw未満の太陽光は1kwhあたり21円で10年間、10kw以上の太陽光は1kwhあたり14.2円(太陽光の売電収入が年間1000万円以上になる場合は13円)で20年間売電できますが、それぞれ、その後の売電価格は未だに決まっていません。
今後年々売電価格が下がっていき、最終的には1kwhあたり10円前後になると言われたり、全く売電できなくなるとも言われています。あくまで予測ですが、現在、設置して10年以上経過した太陽光の売電単価は7.05円になっているので、同等の単価になるのではないかと思われます。
パワーコンディショナー(略称:パワコン)には以下のデメリットがあります。
①パワコンの交換
太陽光パネル自体は30年以上使えますが、パワコンは15年~20年ほどで壊れるので、交換する必要が出てきます。
パワコン1台の交換費用(部材費+工事費)は、現在の相場で15万円から30万円程度です。太陽光部材の価格は年々下がっており、パワコン交換費用も将来的にはもっと安くなる可能性が高いです。
各製造メーカーごとに、10年または15年の製品保証がついているので、早く壊れてしまった場合も安心できるシステムになっています。(太陽光を購入する場合は、製品保証を受けられるかどうかの確認をしましょう)
②パワコンの騒音
パワコンは太陽光が発電すると同時に稼働しますが、稼働の際、高周波の小さな音が出ます。たいていの人は気になりませんが、人によっては不快に思う方もいます。音を感じやすいのは若年層が多いです。
パワコンは屋内に設置するタイプと屋外に設置するタイプとありますから、子どもがいるなどの理由で音が心配でしたら、屋外用のパワコンを選びましょう。
1.電気代の高騰、再エネ賦課金
2.パネルの価格、性能、保証、補償
3.今後の動き
太陽光をつける家庭が増えたことで、年々電気代が高くなっています。
電力会社は太陽光などで発電した電気を買い取るようになりましたが、その負担を補うために、電気代をどんどん上乗せしてきています。これを再エネ賦課金と言い、その上乗せ額は年々増えていっています。
一般家庭の平均した電気使用量5000kwhでみると、2015年が7900円、2016年が11250円、2017年が13200円、2018年が14500円、2019年が14750円と、年々上乗せになっています。電気を多く使用する家庭は、さらに大きく負担がのしかかります。
この再エネ賦課金は、太陽光の電気を自家消費する分は免除されます。ですから、太陽光をつけていない家庭により多くの負担がかかるという不公平な仕組みになっています。
日本の先をいくドイツでは、より多くの賦課金額になっています。
例えば太陽光の普及し始めた2009年では、5kw(一般平均の設置容量)の太陽光を設置するのに税込350~400万円くらいかかりましたが、現在ではその3割以下の税込100~130万円ほどで設置することができるようになりました。
売電価格が下がったことで、回収金額(儲け)は大幅に下がっていますが、価格の低落により、投資回収年数(元を取る年数)も縮まり、早ければ5年以内に回収できるようにもなりました。
その上パネルの性能も上がっており、同じ1wでも、より多く発電するようになっています。
製品保証や災害補償においても、10年だった保証・補償期間が15年に増えたメーカーもあります。
今後も売電価格は年々下がっていき、逆に電気代は高くなっていくので、太陽光で作った電気を売るより使う方が断然得になっていきます。売って儲けるというより、高くなっていく電気代を削減するという考えに変わり、電気を売らずに蓄めておくための蓄電池や、リーフなどの電気自動車が普及していくでしょう。
また、東日本大震災以降、節電意識が高まり、家庭内のエネルギー消費を最適化する「スマートハウス」が普及しています。
スマートハウスには太陽光・蓄電池・HEMS(ヘムス)が最低限必要になります。
HEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)とは、電気、水道、ガスなどの家庭で使うエネルギーを節約するための管理システムです。利用状況をパソコン、タブレット端末、スマートフォンで「見える化」したり、エネルギー消費量を最適化するため家電機器を「自動制御」したりできます。
太陽光の投資回収年数は、パネルの価格や設置条件によって大きく変動しますが、屋根に設置する場合、一般的に見て、5~10年ほどです。
設置容量が多いと、投資回収年数は減ります。例えば、4kw設置するより、5kw設置する方が投資回収が早くなります。基本、たくさん設置すればするほど得します。
また、電気代の高い昼間に太陽光で発電した安い電気を使うほど、投資回収は早くなります。
一般家庭の屋根に設置する太陽光の容量は、平均して5kwくらいです。使用するパネルによっても異なりますが、5kwの太陽光の年間発電量は、6000kwh前後です。自宅で消費する年間使用電力が一般平均で5000kwhほどなので、電気を十分賄えて、さらに収益にもなります。
屋根置きの場合で、5kwの価格(パネル+工事+申請等諸経費)が税込100~130万円ほどです。買電価格を31円と仮定した場合、年間にして約12.6万円~18.6万円(月々約10500円~15500円)投資回収します。太陽光で発電した電気を全て売った場合で12.6万円、全て使った場合で18.6万円です。
屋根に設置することで、夏涼しく、冬暖かくなって光熱費が下がったり、発電した電気を使うことで、電力会社から電気を買う量も減り、省エネ賦課金額が下がったりするので、実際は回収年数以上に得していたりもします。
地上に設置する場合、屋根と比べて太陽光を支える架台が大がかりになり、さらに草刈り、土地の造成、防草シート敷き、砂利敷き、フェンスの設置など、追加の費用がかかる場合もあります。追加工事の有無によって回収年数は大幅に変わりますが、5年~13年ほどになります。
メリットでは、発電した電気を使う、売る、光熱費を下げる、部屋を涼しくする、停電時に使える、環境に良いなどの理由がありました。
現状では、売電価格は年々下がっているものの、同時にパネルの価格も下がっており、性能は上がっていて、保証や補償も充実してきました。
太陽光を設置した金額も早くて5年で投資回収でき、電気代の高騰や、省エネ賦課金といった背景もあって、経済的に見ても断然得な状況になってきました。補助金があればさらに得になります。
これらの点から見ても、太陽光の設置は大変得なものになっています。
しかしデメリットとして、実際に設置してみなければちゃんと売電できるかわからないとか、今後売電に制限がかかるかもしれないなどの、先行き不明な点がありました。
そういった不具合が起きて後悔しないためにも、事前に調べることが大切です。
太陽光設置後のトラブルはたくさん起こっています。
「たくさん売電して儲けたい」
「電気代を0にしたい」
「環境貢献したい」
などの思いで設置したものの、
「予測よりも発電量が低かった」
「壊れたが保証してもらえなかった」
「ぼったくられた」
「屋根が雨漏りした」
といった後悔をする設置者も多数います。
価格や発電量、安心安全性を踏まえた業者選び、パネル選びによって、月々の光熱費も変われば、パネルや機器の寿命も変わり、壊れても保証してもらえ、ぼったくられることなく、雨漏りなどの被害にも遭わずに済みます。
そもそもちゃんと発電しなければ、どんな望みもかなえられません。
例えば投資回収で言っても、失敗しないことが素早い回収を生みます。
5年以内に投資回収できるケースもあれば、20年かかっても回収できないケースも出てきます。
失敗しないためには、安くてたくさん発電し、長持ちする太陽光パネルを、設置環境や施工法など良い条件で、確実に設置することです。
ここでは、太陽光で失敗しないため、得するための情報をお伝えします。(「1-1.太陽光のメリット」「1-2.太陽光のデメリット」「1-3.太陽光の現状と将来性」でお話しした情報については省略します)
太陽光の設置にかかる全費用は、「部材費(パネル、パワコン他機器)+工事費(パネル取付工事+電気工事+足場工事)+申請費+諸経費+長期製品保証・自然災害補償加入費」です。
太陽光は、工事前に電力会社へ電力申請したり、経済産業省へ事業計画申請をしなければいけません。販売業者によって、申請費が工事代や諸経費に含まれている場合もあります。
また、パネルのメーカーによって保証内容が違ったり、無償で保証・補償してくれたりします。
これに加えて、後々メンテナンス費用がかかったり、パワコンが壊れた時の交換費用がかかったりします。
太陽光設置費用について、価格が変動する条件は以下の通りです。
①パネルの違い
パネルの違いで発電量も変われば、価格も変わります。販売業者によって価格は異なるので一概には言えませんが、基本、たくさん発電するパネルは価格も高く、また、国産のパネルよりも、海外製パネルの方が安い傾向にあります。
②パネル設置枚数の違い
パネルを設置する枚数が多いと、当然パネル費用は高くなります。
③設置レイアウトの違い
同じ20枚パネルを屋根に設置するにしても、屋根1面に20枚設置するのと、屋根2面に10枚ずつ設置するのとでは、2面に設置する方が工事費は高くなります。3面、4面設置は、さらに割高になります。
④屋根材や架台の違い
瓦、スレート、金属屋根(ガルバニウム鋼板等)に設置する場合、屋根材の違いで施工法も変わり、工事の手間も架台の費用も変わります。また、同じ屋根材でも何種類かの違った施工法があり、工事や架台の費用に違いが出てきます。屋根が急な場合は足場工事の費用が高くなる場合もあります。
⑤陸屋根・地上設置
陸屋根に設置する場合、太陽光を支える架台が大がかりになり、基礎工事も必要になり、架台・工事費が高くなる場合があります。また、地上に設置する場合、同じく架台や基礎工事がプラスされ、さらに、草刈り・土地の造成・防草シート敷き・砂利敷き・フェンスの設置など、追加の費用がかかります。
⑥設置する地域の違い
積雪地域に設置する場合、強度上の都合で架台が大がかりになるので、その分費用が高くなります。
⑦業者の違い
あまりに安すぎる業者は、シミレーション通りに発電しない機器をつけられたり、粗悪な工事をされる恐れがあるので気をつけましょう。
この先20年以上使っていくものですから、単に安いからという理由で選んだりせず、長い目で見て、安定して発電するパネル、確実な工事をする業者選びを心掛けましょう。
1kwの太陽光の年間発電量は、設置条件やパネルの違いによって異なりますが、だいたい1200kwh前後になります。
2020年度10kw未満の売電単価21円を掛け合わせると、
1200kwh×21円=25200円
年間2万5200円前後回収できます。
発電量を左右する条件は以下の通りです。
①パネルの違い
同じ1wでもパネルが違えば発電量は変わります。また、年々パネルの老朽化にともない、発電量は下がっていきますが、パネルの違いによって、その劣化具合も変わってきます。
たいていのパネルメーカーでは、20年とか25年の出力保証がついていて、保証期間内に発電量が下がりすぎたパネルを無償で交換してくれます。
②設置する地域の違い
地域によって、日射量や日照時間に異なり、発電量にも違いが出ます。
③設置方位、設置角度の違い
南面30度に設置するのが一番発電します。東や西面に設置すると、南に設置するのと比べ、85%の発電量になります。最近では、ろくに傾斜のない屋根も多いですが、全く角度のない0度の場所に設置した場合、南の87%くらい発電し、東西に設置するよりも、若干多く発電します。
④影の有無
パネルに影がかかることで発電量が低下します。太陽光パネルはパネル同士を何枚も直列につないで設置しますが、パネル1枚に影がかかることで、同じ直列内のパネル全ての発電量が下がってしまいます。同じ影でも、影の濃さによって下がり方も違います。電線1本くらいの影はあまり影響されませんが、もちろんないに越したことはありません。影ができる場合は、どのくらいの時間かかるか計測し、影の影響からくる発電量低下も考慮した上で、設置するかどうか検討しましょう。設置する場合は、なるべく発電量が低下しない配線方法で設置することが重要です。
⑤熱の影響
太陽光は、温度が低くなると発電量が上がり、逆に高くなると発電量が下がります。屋根材の上に設置する据え置き型か、それとも屋根材と一体化した一体型かの設置方法の違いによっても、熱のこもり方が異なるので発電量は変わってきます。(10.据え置き型と一体型について参照)
⑥パワーコンディショナーの性能の違い
パワーコンディショナー(略称:パワコン)とは、太陽光パネルで発電した直流電気を、家庭用の交流電気に変換する機器です。変換する際に、数%の電気のロスが生じます。このロスが少ない(変換効率が高い)パワコンを使用することで、より多くの電気を得ることができます。
⑦配線の長さ
太陽光パネルで発電した電気は、ケーブルを通って接続箱やパワコンに送られ、そこから集電盤や売電メーターなどに送られていきますが、ケーブルを通る際に、電気が少しづつロスしていきます。この距離が短ければ、より多くの電気が得られます。
太陽光で初期投資した金額を全て回収するまでにかかる年数のおおまかな計算方法は以下の通りです。
年間売電量×売電単価+発電した電気を使った量×買電単価
=年間回収金額
太陽光設置にかかる全費用÷年間回収金額=投資回収年数
↑買電単価は毎年上がっていくので、正確な計算ではありません。あくまでおおまかな計算になります。
2020年度は売電単価が21円、買電単価が31円ほどです。(電力会社との契約プランが従量電灯Aの場合。買電単価は、使う量によって変動しますが、とりあえず31円とします)
メンテナンス費用がかかったり、売電収益が多くて税金がかかる場合は、回収年数はもう少し長くなります。
例えば電気代が月平均10000円(昼間に3000円、夜間7000円電気代がかかっているとします)の家庭が、2020年度に5kwの太陽光を税込100万円で設置した場合の年間回収金額は、
1ヶ月にかかる昼間の電気使用量
昼間電気代3000円÷買電単価31円=約100kwh
年間にかかる昼間の電気使用量
1ヶ月の昼間の電気使用量100kwh×12ヶ月=1200kwh
太陽光の年間発電量
6000kwh
1年間に売電する電力量
年間発電量6000kwh-年間の昼間の電気使用量1200kwh
=4800kwh
(↑電気の使い方によってこの値も変動しますが、とりあえず今回は、昼間の電気を全て太陽光でまかなえるものとします)
よって、年間回収金額は、
4800kwh×21円+1200kwh×31円=138000円
投資回収年数は、
100万円÷138000円=約7.25年
となります。
余剰売電の場合、10年間21円で売電し、それ以降の売電単価は下がるので、投資回収年数が10年を超える場合は、別の計算をする必要があります。
例えば先ほどのケースで、設置金額を税込150万に変更した場合、
10年後の未回収金額
150万円-138000円×10年=120000円
10年後の買電単価は高くなっていますが、とりあえずここでは31円固定として考えます。10年後以降の売電単価は7.05円とします。
10年後以降の年間回収金額
4800kwh×7.05円+1200kwh×31円=71040円
となります。
ですから、残りの投資回収年数は、
120000÷71040円=約1.69年
となり、投資回収年数は、10+1.69=11.69年となります。
投資回収年数が15年以上になる場合は、パワコンの故障による交換費用なども考えられるので、それらの費用も含めた計算が必要になります。
太陽光の設置容量は、パネルの容量とパワコンの容量のいずれか少ない方になります。
例えば、250wのパネルを36枚、120wのパネルを5枚設置する場合、
パネル容量は、250w×36枚+120w×5枚=9.6kwになります。
4.0kwパワコンを1台、2.7kwを2台設置する場合、
パワコン容量は、4.0kw×1台+2.7kw×2台=9.4kwになります。
パネルが9.6kw、パワコンが9.4kwなので、太陽光の設置容量は、少ない方の数字を取って、9.4kwになります。
また、このように、パネルの容量の方がパワコンの容量より多く設置することを、「過積載」といいます。
9.6kw発電したとしても、9.4kwのパワコン容量しかなければ、9.4kwしか電気を使ったり売ったりできず、0.2kwはロスします。
しかし、9.6kwのパネルは、1年を通してみても、9.6kwフルに発電することは滅多にありません。
太陽の角度や照度、気温の移り変わりや、設置条件などで、発電量は変動しますし、9.6kwフルに発電したとしても、1日の中でもほんの一時でしかありません。
投資金額、設置容量、発電量、発電ロスのバランスで、一番効率的なラインがあります。
過積載にすることで、いくらか発電ロスは生じますが、発電量は増え、投資回収年数が減り、より利回りも上がります。
太陽光パネルは、「シリコン系」「化合物系」「有機物系」の3つに分けられ、それぞれに特徴があります。
シリコン系
ケイ素を原料とするパネルで、国内市場の8割を占めています。「結晶シリコン(単結晶・多結晶)」「アモルフィスシリコン(薄型シリコン)」、および前記2つを合わせた「HITシリコン(ハイブリッド型)」があります。
単結晶シリコン
現在主流となっている標準的なパネルです。パネル表面のセルは黒色です。長州産業のGシリーズは青色です。
多結晶シリコン
一昔前に主流となっていたパネルで、単結晶に比べて若干発電量も低く、価格も安いです。単結晶セルを作る過程で余った残りのシリコンを合わせて作ったシリコンです。パネル表面のセルはキラキラしていて青いです。
アモルファスシリコン
熱に強く、暑い日でも発電量が低下しにくいパネルです。結晶シリコンに比べて価格が安いですが、発電量が少ないです。パネル表面のセルは黒色です。
HITシリコン
パナソニックと長州産業が販売しているパネルです。単結晶とアモルファスを合わせたパネルで、高い発電量と、暑くても発電量が低下しにくいという同時の性質を持ち合わせています。太陽光パネルは経年劣化によって発電量が低下していきますが、HITパネルは他のパネルに比べて劣化しづらいという特徴も持っています。パネル表面のセルは黒色です。
化合物系
銅、インジウム、ガリウム、セレンを原料としたパネルです。暑い日や、影がかかる場所でも発電量の低下が少ないです。ソーラーフロンティアのCISパネルは、銅、インジウム、セレンの3つを使用しています。発電量は多いですが、1kwあたりのパネル面積が大きいです。他メーカーのパネルに比べ、同じ5kwの太陽光を設置するにしても、より広い面積が必要になります。狭い場所にたくさんの容量を設置したい場合には向いていません。シリコン系のパネルに比べて価格が安いです。パネル表面はセルで区切られてなく、黒1色です。
有機系
次世代型太陽光の本命の一つとされていますが、いまだ実用化には至っていません。
左は、屋根材の上に設置した「据え置き型」の太陽光、右は野地に直接設置し、屋根と一体化した「屋根材一体型」の写真です。
それぞれの比較として、据え置き型は、架台と屋根材との間に隙間があり、熱が逃げやすく、隙間のない屋根材一体型に比べ、高温による発電量の低下が少なくなります。
遮熱・断熱性の点で言うと、据え置き型の場合はパネルと屋根材の2重の断熱作用があり、屋根材一体型よりも優れています。
一体型は、見た目がきれいな面が優れています。屋根から飛び出た部分もなく、すっきりとしたデザインに仕上げることができます。
また、屋根面いっぱいに大容量設置できるというメリットもあります。
一体型にすると固定資産税がかかります。一般平均でいうと、年間2500~5000円くらい(1kwあたり年間500~1000円くらい)です。
一体型にすることで、屋根材が少なくなるので工事費も安くなると思われがちですが、施工手間がかかるので、それほど価格に違いは出ません。
屋根の重量に関して言うと、屋根材一体型にすることで、据え置き型に比べ、屋根の重さを軽くすることができます。
古い建物には耐震性の観点でみても良い工法ですが、屋根地が凸凹している場合、一体型は設置出来ないので、屋根地の調整費用が別途かかります。
屋根材一体型の中には、熱がこもらず、遮熱・断熱性に優れ、屋根地が凸凹している屋根にも設置可能なものも出てきています。
メーカー保証は、パネルの出力保証とパワコン、接続箱、架台、ケーブルなどの機器保証があり、保証期間内に壊れてしまった場合や、発電量が大幅に下がってしまった場合、交換してもらえます。
各メーカーの各パネルやパワコンごとに、保証を受ける条件や保証期間は異なります(どのメーカーも無償で最低10年の保証はあります)。
25年出力保証・15年機器保証が無償で受けられるメーカーもあれば、20年出力保証・10年機器保証が無償で、25年出力保証・15年機器保証が有償のメーカーがあったり、施工保証がついているメーカー(長州産業は施工保証10年)など、いろいろあります。
各メーカーとも、モニターの機器保証は1年または2年になります。
また、各メーカーごとについている自然災害補償に加入していれば、火災・落雷・風災・雪災または外部からの物体の飛来によって壊れた機器を交換してもらえます。
災害時、設置者が住宅の保険に加入していれば、その保険が自然災害補償よりも優先して使われるので、そういった場合は意味のない補償になります。
メーカーによって、自然災害補償がないメーカーもあります。補償を付けたい場合は、別の保険に入りましょう(ソーラーフロンティアには自然災害補償がありません)。
補償の期間は10年または15年です。ただし、地震や津波による補償はおりません。自然災害補償に加入は基本、有償です(京セラ・カナディアンソーラー・Qセルズは無償で10年、有償で15年)。
長期の出力・機器保証や自然災害補償を受けるには、メーカーのIDを持った者が工事する必要があります。IDを持っていなければ、パネルが10年、パワコンなどの機器が1年の保証期間になります。
日本のメーカーのほとんどは、パネルを海外で製造しています。
有名メーカーの中では、長州産業とソーラーフロンティアが純国産製になります。
パワコンなどのパネル以外の電気機器は日本製であることがほとんどですが、これは海外メーカーの場合も同様です。地面に設置する太陽光の場合は、安い海外製の架台を使用する場合が多くなってきました。
また、海外製のパネルの性能は日本製のものと大して変わりなく、国産と海外製といっても大した違いはありません。
しかし、海外製の中には、設置1年で発電量が大幅に下がったり、パネルが漏電してすぐに故障したり、中にはJIS企画で認証されていないパネルがあったりもするので注意が必要です。
単に安いからという理由で選ぶのは止めましょう。
有名メーカーのパネルでしたら、国産・海外製問わず、どのパネルもしっかり発電しますし、長持ち安心で、保証内容も充実しています。
太陽光には、「発電した電気を家で使い、余った分を電力会社に売る」余剰電力買取と、「発電した電気を全て売る」全量電力買取の2つの契約方法があります。
全量買取は、10kw以上設置しなければ契約できません。10kw以上設置する場合は、余剰と全量のどちらでも契約できます。ですが、2020年度から、10kw以上50kw未満の太陽光は、余剰の場合は3割自家消費、全量の場合はパネル下で作物を植えなければならないといった制約ができました。
10kwの容量にするのに設置面積でいうと、だいたい約50~60㎡くらい(パネル40枚くらい)必要になります。
10kw未満の設置で、1kwhあたり内税21円で10年間売電でき、10kw以上の設置で、余剰・全量ともに、1kwhあたり13円か14.3円(太陽光の年収が1000万以上になる場合は13円、1000万未満の場合は消費税込みの14.3円)で20年間売電できます。
10kw以上の場合、余剰と全量のどちらがいいかということですが、今から設置する場合は、余剰の方が得で、その理由は以下の通りです。
①売電価格と買電価格
昔は売電単価が高く、売る方が得だったが、2018年頃から逆転して、現在では買電単価の方が高く、太陽光で作った電気を売るより使った方が得になりました。
今後、売電価格はさらに下がっていき、電気を売るより使う方がどんどん得になってきます。
②電気代(省エネ賦課金)の高騰
再エネ賦課金とは、電力会社が太陽光などで発電した電気を買い取るために要した費用を補うため、各家庭に電気使用量に応じて負担させる電気代のことです。
賦課金額は年々増えていっています。
余剰で昼間に発電した電気を使って、電気使用量を減らすことで、省エネ賦課金額も減らすことができるので、そういった点からも、太陽光で作った電気を売るより使った方が得になっています。
③電力会社の連系工事負担金
太陽光で電気を売り買いするためには、電力会社の電力網に太陽光を接続しなければなりません。これを系統連系といいます。太陽光を設置するにあたり、設置場所や設置容量、その他の条件によって、電力会社が行う系統連系工事の負担金が発生するケースが出てきます。太陽光は、工事前に電力会社に電力申請をするのですが、負担金額については、電力申請をした後でなければわかりません。一般的に、設置容量が大きいほど負担する額も高くなり、10kw未満の余剰買取であれば、負担金を請求されることはめったにありません。あっても数万円で済むことが多いです。10kw以上の余剰買取の場合、負担金は発生したりしなかったりです。10kw以上の全量買取の場合、負担金が発生します。これまでの経験上、10kw~20kwで数万円〜10万円、20kw~50kwで20万〜100万円ほどになります。
④蓄電池
蓄電池は、太陽光で発電した電気を貯めたり、夜間の電気代が安い電気を買って貯めたりします。太陽光の電気を蓄電池で蓄電するには、余剰買取契約にしていなければいけません。
⑤補助金
例えば、ZEH補助金などの省エネに関する補助金を受けるには、家庭内の電気を太陽光で賄う余剰買取でなければいけません。
⑥税金
所得に応じて税金を払う額も高くなっていきますが、使った電気は当然計上されないので、余剰買取の方がお得です。
オール電化とは、ガスを使用せず、住宅で使用するエネルギーを全て電気でまかなうことです。IHクッキングヒーターとエコキュートを設置することでオール電化になります。
火を使わないので火災の心配もなく、エコキュートのお湯が非常時に使えます。
ガスを止めてオール電化にすると、基本料金の価格が割引きされ、昼間割高で夜割安な電気料金プランに切り替えることができます。
夜間の安い電気を買って、お湯や暖房の熱源をとることで、大幅に光熱費を削減できます。
太陽光とオール電化と組み合わせると、光熱費が100%前後削減出来ます。例えば、オール電化にしている一般家庭の、電気代の月平均は12000円ですが、太陽光を5kw設置すると、月々約10500円~15500円ほど回収できます。
一般家庭の月々のガス代の平均は10000円ほどですが、オール電化にすることでガス代は0円になり、電気代は月々3000円ほど上がります。ですからガスから電気に変えることで、月々約7000円光熱費が削減できます。
オール電化にするためのIHクッキングヒーターとエコキュートの設置費用(部材費+工事費)は70~80万円ほどです。
70万÷7000円=100ヶ月=約8.3年
80万÷7000円=約114.3ヶ月=約9.5年
約8.3~9.5年ほどで投資回収できます。
IHクッキングヒーターとエコキュートの寿命は15年前後と言われていますが、電化製品ですから何とも言えない部分もあります。
ガス代が安い家庭はオール電化に切り替えない方が得だったりもします。
電力の自由化により、中国地方なら中国電力、九州地方なら九州電力といったように、これまで決まった電力会社からしか電気を売り買いできなかったのが、新たに参入した別の電力会社(ソフトバンク、au、楽天、エネオス、昭和シェルなどなど)と売り買いできるようになりました。
それぞれの会社で電気の買取価格が違ったりもするので、高く電気を買い取ってくれる業者を選んだりもできて、投資回収もその分早められます。
ドイツでは、何百社とある電力の販売業者の中から、自分のニーズにぴったり合った業者を選ぶようになっています。
新しく電力会社と契約した場合、どうやって電気を売るのかということですが、例えば中国地方で設置した場合、売る電気は今まで通り、電柱から中国電力へ流れていって、中国電力が、新しく契約した電力会社に電気を渡すシステムになっています。
ちなみに、契約を切ったり、契約した電力会社が倒産した場合は、自動的に中国電力に契約が戻るようになっています。
自社施工とは、販売から工事までを自社で全て行うことです。
対して、販売を行う会社と工事を行う会社が別々になっていることを、外注施工といいます。
ちなみに、当社は販売とパネルの取付を当社が行い、電気工事は電気の専門業者に依頼しています。
パネル取付工事、電気工事ともに言えることですが、各家庭の屋根の状態や電気の事情など、太陽光のマニュアルだけでは対応し切れないケースも中には出てきます。そういった場合、その道の専門でなければ上手く対処できません。
自社施工の場合、中間マージンが発生しないので安かったり、一貫施工で意思疎通もしっかりできているなどのメリットがあります。
工事を外注に依頼している会社の営業の中には、工事の知識がない者も多く、設置不可だったり、雨漏りの危険性の高い架台を販売してしまうこともあります。
雨漏りの危険性の高い架台が標準仕様になっているハウスメーカーもあります。
自社施工であっても高かったり、外注施工であってもちゃんと意思疎通ができていたりもするので、どちらが良い、悪いと一概には言えません。
例えば雷が落ちて発電がストップし、気づくまでずっと売電できてなかったといった事例が良くあります。
ちゃんと発電しているか、発電が止まっていないか、電圧上昇抑制は起こっていないか、パネル・機器・配線の損傷はないか、架台はしっかり固定できているか、サビてないか、定期的にチェックすることが大切です。
メンテナンスについては、「4-1太陽光のメンテナンス」で詳しく説明しています。
以上、失敗しないため、より得するための基礎知識についてお話ししました。
次に、設置後どういったトラブルがあるか、事例をお伝えします。
トラブル1.発電量が少ない、全く発電しない
トラブル2.パネル取付工事の施工不良
トラブル3.電気工事の施工不良
トラブル4.パワコンの騒音
トラブル5.保証や補償をしてくれない
トラブル6.雪害
トラブル7.反射光
トラブル8.業者と連絡が取れなくなる
発電量がシミュレーション値より少なかったり、全く発電しなかったりする原因は以下の通りです。
いずれの場合にせよ、早急にメーカーか販売店に連絡を取って対処しましょう。
①天候不良
発電量のシミュレーション値は、過去何十年の日射量・気温・降水量などのデータを統計して導き出しています。
暑い年もあれば寒い年もあり、たくさん雨が降る月もあるので、日射量・気温・降水量は変動して、月々や年間の発電量が、シミュレーション値に比べ、大幅に上がったり下がったりする場合があります。
②設計不良
設置方位、設置面の角度、設置地域、影の影響などをきちんと計測することもなく、または偽って、デタラメなシミュレーション値を算出している場合です。
③施工不良
パネル同士をつなぐコネクタの外れ:コネクタをしっかり接続していないと、外れてパネル1系統分、発電量が下がったりします。
パネルの漏電:ケーブルをパネルや架台で挟んだりすると漏電し、売電できなくなります。
パワコンの故障:ほこりの舞う場所や、狭くて熱がこもる場所に設置すると壊れやすいです。
④天災、人災、獣災
パネルの割れ:雹(ひょう)が降ったり、誰かが石を投げたり、カラスが空から石を落したりして割れるケースがあります。
ケーブルの断線:動物がかじって断線させるなどのケースです。最悪火災に発展します。
ケーブルの盗難:地上設置で起こるトラブルです。フェンスや監視カメラを設置しましょう。
火災:屋根とパネルの間に落ち葉が詰まったり、鳥が巣をしたりして、それらがケーブルに触れることで燃えて火事になるというケースです。
⑤製品不良、故障
パネルが不良品でろくに発電しない、全く発電しない場合があります。
パワコンが不良品で、すぐ故障する場合もあります。
⑥電圧上昇抑制
随時、パワコンの抑制ランプや抑制時間をチェックしましょう。
電圧上昇抑制については「1-2.太陽光のデメリット」をご覧ください。
①雨漏り
屋根に太陽光を設置した後に起こるトラブルです。
工事中に屋根材に傷をつけ、そのまま気付かずに工事を終えてしまったり、また、屋根材を加工した後のコーキングなどの防水処理がちゃんとできてなくて、そこから雨漏りしてしまうというケースです。
コーキングは10年もすれば劣化しますが、そこから雨漏りするといったケースも今後出てくるでしょう。
②漏電・火災
ケーブルをパネルや架台で挟んで漏電したり、ケーブルを傷つけて雨水で漏電させ、発電しなくなるケースで、場合によって火災も発生します。コネクタをしっかり接続していないことで、接触不良が起きて火災になることもあります。
また、パネル下の配線工事をする際、絶縁処理がきちんと行われておらず、火災に発展するケースもあります。
パネルの下に余ったケーブルをグルグル巻きにして置いて、それが電流を発生させて火災を起こすケースもあります。
③飛来・落下
パネルを架台にしっかり固定していない、架台をしっかり野地に固定していない、架台自体がもともとパネルの重量や風圧に耐えられるものではない、架台がサビて支えきれなくなった、などの原因で、パネルや架台が飛来・落下するケースです。
勾配のない陸屋根に設置したパネルは風圧をもろに受けますが、パネルが架台ごと風で飛んだ事例はいくらかあります。
①パワコンの故障
基本、-10~40℃の範囲で、点検しやすい場所に設置するよう指定されていますが、設置基準の離隔寸法を守らないなどで、狭くて熱がこもる場所に設置すると壊れやすいです。
シャッター付きの車庫の中など、室内といえど、ホコリの舞う場所に設置しても壊れやすいです。
また、防水処理されていない屋外用のパワコンは浸水して壊れます。
②火災
端子締め不良による火災は多く、各メーカーの施工不良事例にもよく取り上げられています。
滅多に起こる問題ではありませんが、パワコンの出す小さな高周波音が騒音問題になる場合もあります。
たいていの人は気になりませんが、人によっては不快に思う方もいます。音を感じやすいのは若年層が多いです。
パワコンは屋内用と屋外用とあるので、室内の騒音が心配ならば、屋外用を選びましょう。
太陽光を大容量設置した場合など、パワコンも大きなものになり、パワコンの出す音も大きくなって、騒音問題が起こる場合もあります。
出力保証・機器保証・自然災害補償の期間内であるにも関わらず、故障した機器を無償で交換できないといったケースです。
業者が保証・災害補償の申請をしていなかったり、もともとメーカーの施工IDを持っていなくて、保証申請自体をしていなかったり、また、マニュアル通りに工事していない場合も保証はおりません。
架台だけメーカー外のものを使用しているケースなどもあり、当然、架台にメーカーの長期保証は出ません。その架台が丈夫なものか、または長期保証があるかどうかも重要になってきます。
架台によってはすぐにサビるものもあり、安いからという理由でその架台を使用している業者もいますから注意が必要です。
板金屋根(金属屋根)の場合、架台にサビが発生すると、それが屋根に移って板金もサビてしまいます。
パネルの上に積もった雪が、一度に大量に滑って落ち、車をへこませたり、カーポートを壊したりといったトラブルもあります。人身事故にもなりかねません。
パネルの取付位置を軒先から離すとか、雪止め瓦を取付けるといった対策もありますが、その分パネルの設置枚数が少なくなる場合もあります。
太陽の位置や高度によって、パネルから反射した光が近隣の住宅の窓に差し込んで、眩しい、熱いといった理由でクレームが起こることがあります。
そうなると最悪、設置した太陽光を全て撤去しなければならなくなります。
北面にパネルを設置した場合や、地上設置で東向き・西向きに設置した場合に起こることがあります。
粗悪なパネルを販売して、設置後、業者が姿をくらますケースです。そういった業者の大半は、店を構えていない訪問販売です。
以上、トラブルの事例についてお伝えしました。
では、どうすればこられのトラブルに遭わなくて済むでしょうか?
また、トラブルに遭ったとしても、適切な対応を取ってもらえるでしょうか?
次に、業者選びについてお話しします。
太陽光の施工不良によるトラブルは後を絶ちません。
太陽光にはパネル取付工事と電気工事とありますが、それぞれの工事でトラブルは多発しています。
電気工事は第2種電気工事士資格が必要ですが、パネル取付工事には何の資格も必要ありません。
メーカーごとに施工IDがありますが、メーカーの施工IDは、屋根の知識や経験がなくても、各メーカーの講習を受けさえすれば取ることができます。
そういった背景から、屋根工事のことを知らない業者が取付工事を行い、それが施工不良につながるといったケースが多発しています。
パネルを屋根に設置する場合、太陽光の架台を取付けるため、屋根材に穴をあけたり加工したりしますが、その際、きちんと雨仕舞いできていなかったり、屋根材に傷やヒビを入れたりして、そのまま気付かずに工事を終えてしまい、そこから雨漏りしてしまうというケースが多くあります。
例えば瓦屋根に太陽光を設置する場合で、支持金具工法という施工法では、瓦の裏面を削る作業が出てきますが、たいていのメーカーで、タガネを使って瓦を削るようマニュアルに記載しています。
タガネはハンマーとセットで使います。タガネの刃の部分を瓦に当てて、反対側をハンマーで叩いて、瓦を削っていきます。
タガネの使用には熟練の技術が必要で、ハンマーの叩き方一つをとっても、叩く方向や力加減でまるで違った仕上がりになります。また、タガネは研磨しなければ切れ味も悪いままです。タガネの研磨にも熟練の技術が要ります。
そもそも瓦屋でさえ、普段タガネを使うことはなく、グラインダー(サンダー)などの電動工具を使っており、ちゃんとタガネを使える職人はろくにいません。
技術が無く、研磨しなくても、タガネで瓦を削ることはできますが、タガネを当てる向きや角度、ハンマーの叩き具合を誤ると、不要な部分を削ってしまったり、瓦を割ってしまったり、ヒビを入れてしまうことになります。目視で判別しづらい小さなヒビが入ってしまった場合、見過ごしてしまい、それが雨漏りの原因となってしまいます。
また、瓦を削るということは、瓦の耐久性を下げるということですから、できればしない方が良い作業です。古い瓦を削るのでなく、新しい瓦を用意してそれを削るとか、削らなくても雨漏りしない場合は、少々瓦の隙間が空いても削らないままにしておく方が良いです。
金属(ガルバニウム鋼板等)に太陽光を設置する場合は、金属に傷をつけないよう、細心の注意を払わなければいけません。傷がつくと、そこがサビたり、雨漏りする原因になります。
また、金属を加工した際に生じる切り子(小さな廃材)が屋根に残っていると、それがサビを発生させてしまいますから、しっかり掃除しないといけません。
平板瓦、スレート、金属屋根などの平らな屋根材に穴をあける場合は、穴開け箇所が雨水の通り道なので(和瓦やS型瓦は、凸の部分に穴をあけ、凹の部分に雨水が通るので問題ありません)、雨漏りの危険性が上がります。
各メーカーともに、ブチルテープ(ベタベタしたシール状のもの)やコーキングで防水を行うようになっていますが、例えばコーキングの仕方を誤ると、雨が流れる道をふさいでしまい、それが雨漏りの原因になってしまいます。
コーキングが不十分だと、それも雨漏りの原因になります。
屋根材によって、穴をあけないでパネルを設置できる工法もありますから、そういった提案を屋根の条件ごとにできる業者を選ぶことも必要です。
また、設置後に瓦が割れるケースもあります。
架台やパネルは基本、野地で支えますが、瓦に架台やパネルの重みが伝わるように設置してしまい、瓦が割れたといったケースもあります。風で架台が揺れて瓦が割れたケースもあります。
こういった具合で、屋根工事の素人による雨漏りは後を絶ちません。
そもそも素人では、作業が適切かどうかの判断がつきません。マニュアル通りにしているつもりでも、できていない場合もあります。
マニュアル通りの施工に加え、10年後、20年後まで問題なく長持ちさせるよう、プラスアルファの施工を加える知識もないでしょう。それに、メーカーのマニュアルだけでは対応し切れない場合も当然出てきます。
どうすれば良いのか分からず、その都度工事がストップするといったこともあるでしょう。
屋根工事は家ごとに違いがあって、毎回簡単なマニュアル通りの施工ができるわけではなく、時にはプラスアルファの工事が必要になります。
屋根の工事は屋根の専門業者が行うべきですし、電気の工事は電気の専門業者が行うべきです。
電気工事に関しても、太陽光の電気工事は簡単だということで、電気の資格だけ電気屋に借りて、専門外の人が工事をしているケースも多々あります。おおまかに工事はできても、電気に対する細かい知識がないので、大事故になりかねません。
販売業者もきちんと店を構えた実績豊富な業者を選び、心配なら店を訪問しましょう。
以上、業者選びについてお話ししました。
どんなパネルを選ぶにしても、業者選びによってプラスにもなればマイナスにもなってしまいます。
製造メーカーによって、太陽光パネルの発電量や価格は異なります。
製品保証の年数にも差があり、設置可能な場所・不可能な場所も異なるので、保証が適用される条件も違います。
ここでは、どのメーカーのパネルがいいのかについて、発電量が多いか、初期費用が安いか、投資回収年数が早いか、保証が充実しているか、見た目が綺麗かなど、有名メーカー9社それぞれの特徴をあげて比較していきます。
1.パナソニック
2.長州産業
3.シャープ
4.京セラ
5.三菱
6.東芝
7.ソーラーフロンティア
8.カナディアンソーラー
9.Qセルズ
パナソニックのHITパネルは、三洋電機が開発した太陽光パネルです。三洋電機を子会社化し、2010年からHITパネルの販売を開始しました。(三洋電機は1994年から住宅用太陽光の販売を始めています)
HITは発電量が多く、熱に強くて夏場でもたくさん発電します。また、劣化の進行が遅いです。
変換効率も高く、少ないスペースでもたくさんの容量を設置できます。
HITパネルの生産は日本とマレーシアで行っています。
無償で25年出力保証・15年機器保証(モニターは1年)になります。
パワコンを買い替える場合、パワコンの10年機器保証が無償で受けられます。
西日本を拠点に事業展開をしています。
パナソニックのOEMであり、同じHITパネルを販売しています。
単結晶パネルを国内で製造しており、国内工場で一貫して製造しています。パネルの一貫生産体制は全メーカー中、長州産業のみです。
単結晶パネルはBシリーズ、Gシリーズとあります。
Bシリーズは他メーカーの単結晶と比べ発電量も多いです。
Gシリーズは紫外線も取り込んで発電する真っ青のパネルで、HITと同じくらい発電します。
無償で25年出力保証・15年機器保証(モニターは2年)に加え、10年施工保証(雨漏り保証)がついている唯一のメーカーです。
施工保証は通常、工事会社がするものですが、工事会社が倒産してしまっても、長州産業が保証してくれます。
太陽光の歴史が一番長く、国内シェア№1のメーカーです。1994年から住宅用太陽光の販売を始めました。
単結晶、多結晶いろんな種類のパネルがあります。
単結晶ブラックソーラーは国内生産品で、高い変換効率を誇ります。
ブラックソーラーは無償で20年出力保証・15年機器保証になります。
それ以外のパネルは無償で10年出力保証・10年機器保証、有償で15年出力保証・15年機器保証です(保証料金はkw数に応じて異なります)。
ネットを通じてシャープが発電をチェックするWebモニタリングサービスが無償(工事費は高くなります)で受けられ、トラブルが起きたら早期に発見して、修理点検など適切に対処してくれます。
Webモニタリングサービスは、10年機器保証を受けていれば10年間、15年機器保証を受けていれば15年間受けられます。
1993年に住宅用太陽光を日本で初めて販売したメーカーです。
単結晶、多結晶いろんな種類のパネルがありますが、他メーカーと異なり、主に多結晶パネルを主力にしています。
生産は、日本、中国、チェコ、メキシコで行っています。
いろいろな形状のパネルがあり、美観を優先したい場合に向いています。単結晶のサムライというパネルは価格は高めですが、複雑な屋根形状でも美しくレイアウトできます。
通常、他メーカーでは自然災害補償はオプション(有償)になっていますが、京セラとカナディアンとQセルズは機器保証とセットになっています(無償)。
無償で20年出力保証、10年機器保証、10年自然災害補償になります。
有償で20年出力保証、15年機器保証、15年自然災害補償になります。(保証料金はkw数に応じて異なります)。
京セラ、シャープ、三洋電機に続き、1996年から住宅用太陽光の販売を始めました。2020年度現在は販売を停止しています。
単結晶パネルの発電量や変換効率は他メーカーの単結晶よりやや劣りますが、パワコンの変換効率は98.0%と断トツです(他メーカーの変換効率は、だいたい95%~96%)。
また、停電時、他メーカーのパワコンは最大1500wの電力しか使えず、太陽光の電気を使うための非常用コンセントも1つしかありませんが、三菱のパワコンは、最大2700w使え、非常用コンセントも2つ付いています(パワコン本体のコンセントと別に、増設コンセント用の端子台が標準装備で付いています)。
2017年まで純国産製品でしたが、2018年以降海外生産に切り替わります。
無償で25年出力保証・10年機器保証になります。
有償で25年出力保証・15年機器保証になります(パワコン1台につき税込17280円)。
パワコンを買い替える場合、パワコンの10年機器保証が無償で受けられます。
アメリカのサンパワー社のOEMとなって、2010年から太陽光の販売を始めたメーカーです。自社生産はしていません。
サンパワーの単結晶パネル(Sシリーズ)は世界一高い変換効率です。バックコンタクト方式を用いて、わずかな光でも発電し、熱に強い性質を持っています。
多結晶パネルも取り扱っています。
パネルによって保証期間が異なります。
Sシリーズ345・243w、Jシリーズ240wは、無償で25年出力保証・15年機器保証(モニターは1年)になります。
GXシリーズ255wは、無償で20年出力保証・10年機器保証(モニターは1年)、有償で20年出力保証・15年機器保証(モニターは1年)で、保証料金はkw数に応じて異なります。
Sシリーズ250w、Lシリーズ270w、MXシリーズ205wは、無償で10年出力保証・10年機器保証(モニターは1年)、有償で20年出力保証・15年機器保証(モニターは1年)で、保証料金はkw数に応じて異なります。
ソーラーフロンティアのCISは化合物系のパネルで、シリコン系に比べて、影がかかる場所でも発電量の低下が少なく、熱にも強くて高い発電量を誇ります。
生産は日本で行っています。純国産製品です。
光照射効果で、太陽の光に当たると変換効率が増加する性質があり、工場出荷時から比べて5~10%出力が増加します。
1wあたりの発電量は他メーカーと比べて最も高いですが、発電効率が低いので、屋根が広くないと、たくさんの容量を設置できません。
例えばパナソニックの場合、設置面積が5kwで約26㎡ほど必要ですが、ソーラーフロンティアの場合、約36㎡必要になります。
ソーラーフロンティアのパネルは重いパネルと軽いパネルの2種類あります(他メーカーのパネルは1㎡あたり11~13kgですが、ソーラーフロンティアのパネルは1㎡あたり16kgと10kg)。
パネル間の配線工事はパネルメーカーで唯一、並列に配線する手間がかかり、他メーカーに比べ、工事費が高くなりもします。
無償で20年出力保証、10年機器保証になります。
有償で20年出力保証、15年機器保証になります(保証料は販売店によって異なります)。
2001年から販売を始めたカナダのメーカーです。
2016年の太陽光パネルの総出荷量は世界第3位です。
豪雪地帯のカナダでも耐えられるパネルで、世界トップレベルの強度を誇ります。
単結晶・多結晶ともに製造していますが、主に単結晶を販売しています。
生産拠点はカナダと中国で、ほとんどを中国で製造しています。
通常、他メーカーでは自然災害補償はオプション(有償)になっていますが、京セラとカナディアンとQセルズは機器保証とセットになっています(無償)。
単結晶は無償で25年出力保証、15年機器保証、10年災害補償、
多結晶は無償で20年出力保証、10年機器保証になります。
出力保証は、他メーカーはたいがい90%以上としていますが、カナディアンは初年度97%、2年目以降は毎年0.7%の出力低下を下限に保証しています。
メーカーの保証は、そのメーカーが倒産すれば無効になりますが、カナディアンソーラーはメーカーが倒産しても、保険会社が保証してくれるという2重構造になっています。
元々ドイツの会社でしたが、2012年に経営破綻し、韓国のハンファグループが買収しました。
2016年の太陽光パネルの総出荷量は世界第5位です。
ドイツ生まれの高品質な太陽光パネルで、単結晶・多結晶ともに製造していますが、主に単結晶を販売しています。
生産は中国、ドイツ、マレーシア、韓国で行っています。
通常、他メーカーでは自然災害補償はオプション(有償)になっていますが、京セラとカナディアンとQセルズは機器保証とセットになっています(無償)。
また、万一、日照不足が続いて発電量が低下した場合でも補償してくれる1年間の日照補償がついています。
無償で25年出力保証、15年機器保証、10年災害補償、1年日照補償になります。
出力保証は、他メーカーはたいがい90%以上としていますが、Qセルズは初年度97%、2年目以降は毎年0.6%の出力低下を下限に保証しています。
太陽光メーカー9社の特徴についてお伝えしました。
以下、その早見表になります。
メーカー・パネル種類 | 生産拠点 | 発電量 | 一般価格 | 無償保証 | 有償保証 |
パナソニックHIT | 日本 海外 | 高い ◎ | 普通 △ | 出力25年 機器15年 交換保証 | |
長州産業HIT | 日本 海外 | 高い ◎ | 普通 △ | 出力25年 機器15年 施工10年 | |
長州産業単結晶 Bシリーズ | 日本 | 普通 ○ | やや安い ○ | 出力25年 機器15年 施工10年 | |
長州産業単結晶 | 日本 | 高い ◎ | 普通 △ | 出力25年 機器15年 施工10年 | |
シャープ単結晶 ブラックソーラー (保証期間内Webモニタリングサービス無償) | 日本 | 普通 ○ | 普通 △ | 出力20年 機器15年 Webモニタリングサービス | |
シャープ多結晶 (保証期間内Webモニタリングサービス無償) | 日本 海外 | やや低い △ | やや安い ○ | 出力10年 機器10年 Webモニタリングサービス | 出力15年 機器15年 |
京セラ単結晶 | 日本 海外 | 普通 ○ | 普通 △ | 出力20年 機器10年 災害10年 | 機器15年 |
京セラ単結晶 サムライ (見た目◎) | 日本 海外 | やや低い △ | やや高い × | 出力20年 機器10年 災害10年 | 機器15年 |
京セラ多結晶 | 日本 海外 | やや低い △ | やや安い ○ | 出力20年 機器10年 災害10年 | 機器15年 |
三菱単結晶 (交換後のパワコンの 機器保証が無償10年) | 日本 | 普通 ○ | 普通 △ | 出力25年 機器10年 交換保証 | 機器15年 |
東芝単結晶Sシリーズ 345w・253w サンパワー製 | 海外 | 高い ◎ | やや高い | 出力25年 機器15年 | |
東芝単結晶 Sシリーズ250w サンパワー製 | 海外 | 高い ◎ | やや高い × | 出力10年 機器10年 | 出力20年 機器15年 |
東芝単結晶 Jシリーズ240w | 海外 | 普通 ○ | やや高い × | 出力25年 機器15年 | |
東芝多結晶 MXシリーズ205w | 海外 | やや低い △ | やや安い ○ | 出力10年 機器10年 | 出力20年 機器15年 |
東芝多結晶 GXシリーズ255w | 海外 | やや低い △ | やや安い ○ | 出力20年 機器10年 | 機器15年 |
ソーラーフロンティア CIS(他メーカーに比べ広い設置スペースが必要。重いパネルと軽いパネルの2種類ある) | 日本 | 高い ◎ 変換効率は低い | やや安い ○ | 出力20年 機器10年 | 機器15年 |
カナディアンソーラー 単結晶(カナディアンが倒産しても保険会社が保証 出力保証初年度97%以上、次年度以降は毎年0.7%ずつ引いた値) | 海外 | 普通 ○ | 安い ◎ | 出力25年 災害10年 | |
Qセルズ単結晶 (出力保証初年度97%以上、次年度以降は毎年0.6%ずつ引いた値) | 海外 | 普通 ○ | 安い ◎ | 出力25年 機器15年 災害10年 日照1年 |
では次に、これらの情報を元に、どうやってパネルを選んでいけば良いのかお話しします。
太陽光を設置する目的によって、選んでいきましょう。
1.初期投資を安くしたいなら
2.設置スペースが広い条件で、できるだけ多く発電させたいなら
3.設置スペースが限られる条件で、できるだけ多く発電させたいなら
4.投資回収年数を早くしたいなら
5.より儲けたいなら
6.国産がいいなら
7.保証、補償で安心したいなら
販売店によって価格は変わるので一概にはいえませんが、とにかく安いパネルを購入することです。
ですが、ただ安いだけで選ぶのではなく、10年後、20年後のことも見据えて、安定して発電し、保証内容もしっかりした有名メーカーのパネルを選びましょう。
一般的に安いパネルは以下の通りです。
・各メーカーの多結晶パネル
・長州産業単結晶Bシリーズ
・ソーラーフロンティアCIS
・海外メーカーのパネル
ちゃんと発電するパネルであれば何でも良いので、たくさんパネルを設置することです。
安くて安定して発電するパネルを大量に設置すれば、投資回収年数も早くなります。
50kw未満の低圧で済ませたいなら、パネル容量を80~100kwほどで、パワコン容量をギリギリ50kw未満の過積載にすれば、より発電できて利回り的にもお得です。
よく発電し、なおかつ変換効率も高いパネルを選びましょう。
狭いスペースでもたくさん設置でき、よく発電するパネルは以下の通りです。
・パナソニックHIT
・長州産業HIT
・長州産業Gシリーズ
・東芝Sシリーズ(サンパワー製)
それぞれパネルは縦横の長さが違うので、屋根の形状によって一番設置できるパネルを選びましょう。
通常、設置容量が多ければ発電量も増えて、回収する金額も増えます。
といって、パネルごとに価格は違いますし、たくさん設置できたり、発電できるパネルが、一番回収年数が早いわけでもありません。
発電量、設置容量、価格の兼ね合いで、回収年数の早いパネルを選びましょう。
設置するスペースに制限がなく、いくらでも設置できる場合は、安いパネルにした方が断然早いです。
投資回収年数を算出するには、各パネルごとのシミュレーション値が必要となってきますが、メーカーによって、シミュレーションの値を少なめにしていたりもするので、メーカーのシミュレーション値だけでは正確な見極めはできません。そのあたりの事情に詳しい販売業者による判断が必要です。
設置場所を選べるのならば、一番良い条件の場所に設置しましょう。設置面の角度が30度で、南向きの傾斜屋根にたくさん設置できれば、回収年数もより早くなります。
広さに制限がないのであれば、安くて安心出来る有名メーカーのパネルをたくさん設置することです。回収年数も早く、より儲かります。
広さに制限がある場合は、どのパネルをどれだけの容量設置できるかによって変わってくるので、シミュレーションを見比べて検討しましょう。
たくさん発電して高いパネルAと、そこそこ発電して安いパネルBと2種類あって、投資回収年数が同じ場合、初期投資はAの方が高いですが、投資回収した後を比べると、Aのパネルを選んだ方がたくさん発電するので、より儲かります。
大多数のメーカーは、パネルを国外で生産し、パワコンなど、それ以外の機器を国内で生産しています。
国内生産しているパネルは以下の通りです。
・長州産業単結晶Bシリーズ
・長州産業単結晶Gシリーズ
・ソーラーフロンティアCIS
法律上、どのメーカーも最低10年間の機器保証はついています。その上で、出力保証を20年や25年にしたり、機器保証を15年にしたりしています。
無償で機器保証が15年のメーカーもあれば、10年のメーカーもあります。
15年にするには有償になるメーカーもあり、その場合は、太陽光の設置費用に補償加入額を加えて、他のパネルと比較検討しましょう。
無償保証・補償でおすすめのメーカーは以下の通りです。
・パナソニック:出力25年、機器15年、交換後のパワコン10年保証
・長州産業 :出力25年、機器15年、施工保証10年
・カナディアン:出力25年、機器15年、災害補償10年
・Qセルズ :出力25年、機器15年、災害補償10年、日照補償1年
以上、どのメーカーのパネルがいいのかについてお伝えしました。
発電量・価格・保証の面で、適したプランを数種類提案できて、なおかつ、工事も確実な業者を選ぶことが重要です。
太陽光を設置するにあたり、パネルメーカーによってそれぞれ設置条件があり、設置可能・不可能な場所は異なります。
また、パネルメーカーによって、屋根に穴をあけないと設置できない場合があります。
パネルメーカーの架台では設置不可能な場合や、設置後の雨漏りが心配で屋根に穴をあけたくない場合、また、コストを下げたい場合などに、架台だけ他の架台メーカーのものを使うといったやり方があります。(スレート屋根はどのメーカーでも、穴をあける架台しかありません)
保証については、架台は架台メーカーの保証になります。架台以外はパネルメーカーの保証といったように分かれます。
当然、架台メーカーの架台にも設置条件があり、正しく設置しなければ保証はおりません。
保証がついていない架台メーカーもあり、パネルメーカーによっては、その架台を使うとパネルやパワコンに保証がつかない場合もあります。
以下、架台メーカーの架台をいくらか紹介をしていきます。
太陽光が屋根材の役割も兼ねる屋根材一体型の架台です。
屋根材がパネルだけなので屋根が軽量になります。
パネル裏面に熱がこもって発電量が低下するとか、固定資産税がかかるなどのデメリットがあります。
左上写真のカナメソーラールーフは、パネル裏面に空気層を設け、発電量が低下しない構造になっています。また、屋根材一体型でも法律上は据え置き型とみなされ、固定資産税もかかりません。
ガルバニウム鋼板(金属)の屋根材をはさんで固定する金具です。
左の写真は、穴をあけないタイプです。屋根材の突起があるので、それをはさんで固定します。
左の写真は、穴をあけるタイプです。
屋根材にはさむ部分がないので、穴をあけて、屋根材を表と裏ではさんで固定します。
掴み金具の代表的なメーカーとして「スワロー工業」、「ネグロス電工」、「カナメ」があります。
掴み金具の上に傾斜のついたフレームを置いて、その上にパネルを取付けることで、パネルに傾斜が生まれ、発電量が上がります。
パネルメーカーによっては、北面設置自体がNGというメーカーもあるので、そういった場合にも使用します。
傾斜のない架台と比べ、架台の費用が多くかかるので、発電量と費用を比較して、傾斜をつけた方が良いのかどうか検討しましょう。
傾斜をつける分、影にならないよう、前後のパネルの間にいくらかスペースを取らなければならないため、その分太陽光を設置できる枚数が減ります。
左写真は、古い大波スレートの上に新たにガルバニウム鋼板を重ね葺きしたカバー工法の写真です。
太陽光を設置する際、大波スレートに穴をあけて架台を取付けます。大波スレートだけだと雨漏りの心配が大きくなるため、重ね葺きします。
その後、金具やフレームを取付けていきます。
完成写真です。
陸屋根(学校の屋上のような、平らなコンクリートの屋根)に設置する場合、通常では屋根に穴をあけてそこからアンカーを出し、コンクリートの基礎を固定し、その上に架台やパネルを設置します。
ですが、コンクリート基礎は相当な重量のため、それを支えるだけの強度が必要になります。
また、屋根に穴をあけるので、設置後の雨漏りの心配が出てきます。
古い建物の場合、建物の強度が不足していたり、屋根の老朽化から防水機能も劣化していたりするので、コンクリート基礎の設置は危険です。
そういった場合は、比較的軽く、風の影響も受けにくい置き基礎架台を使用するのが良いでしょう。
しかし、置き基礎の中には風で動いたり飛んだりする不十分な架台もあるので、実績のある架台を選ぶ必要があります。
地上に大容量設置する場合など、コストを安くするために使用します。
架台を特注で作る場合も多く、いろいろな形状のものがあります。
太陽光を設置後、何日後か、何か月後か、何年後か、異常は突然やってきます。
何も起こることなく、何十年もスムーズに発電し続けることはなく、メンテナンスはいつか必要になってきます。
また、屋根が老朽化してくると、屋根を葺き替えたり(リフォームしたり)、建物も弱ってきた場合は、建て替えたりすることも出てきます。その際、いったん太陽光を撤去して、再度設置することになります。
パネル自体は30年以上発電し続けると言われてはいますが、最近あちこちから、「パネルが全く発電しなくなったけど、どうすればいいか?」といった相談を受けることが増えました。
機能しなくなったパネルは保証期間内ならば交換できますが、そうでなければ撤去して、その後処分しなければいけません。
ここでは、太陽光設置後のメンテナンス、洗浄、移設、撤去処分についてお伝えします。
基本、太陽光はメンテナンスをしなくても自動で動き続けてくれますが、何かの理由でパネルが割れたり、パワコンが停止したりして発電量が下がったり、全く使えなくなったり売れなくなったりすることもあります。
ずっと気付かないままでいると大きな損失になりますし、早期発見することが大切です。
モニターで月々の発電量をチェックしたり、正常に動いているかパワコンを見たりして、異常があればすぐに業者に連絡しましょう。
電気を「見える化」して、異常を知らせてくれる遠隔監視サービスに入る手もあります。大容量設置しているなら、なおのことお勧めです。例えばシャープは保証期間内にWebモニタリングサービスを無償でしてくれます。
お金をかけなくても、電力会社から届く月々の売電の検針票を見て、売電金額が適正か、少なすぎないかといった確認もできます。
発電量に関しては、お客さんご自身でシミュレーションと見比べながらチェックすれば問題ありませんが、最初の1年目は雨漏りしていないか、ナットやネジの締め忘れがないかといった点検も含め、業者に来てもらうのも良いでしょう。
傾向として、異常は設置後すぐに起きることが多いです。数年経って異常が出ることもあります。架台や金属屋根がサビるケースも出てきています。
点検等のメンテナンスに関しては、毎年してもらえばより確実ですが、そうでなくとも、1年目、5年目、9年目といったように、数年ごとに点検してもらっても良いでしょう。
以下、点検時のチェック項目を挙げていきます。
・シミュレーション通り、またはそれ以上に発電しているか?
・シミュレーションを下回っている場合の理由は何か?天候か?それ以外の理由か?
モニターやパワコンで発電量をチェックする他にも、毎月電力会社から送られてくる売電と自家消費の検針票2枚をチェックする方法もあります。検針票を紛失した場合でも、電力会社に依頼すれば、発電量や使用量の明細表を郵送してもらえます。
太陽光パネルの発電量は、経年劣化で徐々に下がっていくと言われていますが、当社の知る限り、太陽光事業を始めた2009年以降で発電量の下がったパネルはありません。
15年以上前に設置したパネルが発電しなくなったというケースはちらほらあります。
その年その年で日射量や降水量も異なる場合があり、発電量に大きな違いが出てくる場合もあります。
・パネルの割れや変形がないか?
・パネル表裏に焼け焦げた跡がないか?
・パネル裏面に鳥の巣や卵があったり、落ち葉が溜まっていたりしていないか?
・パネル裏面のケーブルに傷がないか?
・差し込み不足のケーブルがないか?
・ケーブルをグルグル巻きに、ひとまとめにしていないか?
・コネクタが外れていないか?
・ホットスポットやスネイルトレイルはないか?
・ぐらつきはないか?しっかり架台に固定されているか?ナットの緩みはないか?
・架台が変形していないか?
・架台はサビていないか?
・PF管内に水が溜まっていないか?
※ホットスポット:落ち葉や鳥の糞などが太陽電池の表面に付着して影になった場合、その部分が発熱してパネルの一部分が破損してしまう現象。
※スネイルトレイル:パネル表面にカタツムリが這ったような跡ができること。パネル表面のセル内に水が侵入して、電極の銀と反応してできた跡で、徐々に発電量が低下していく現象。
・正常に動いているか?停止していないか?エラー表示はないか?
・電圧上昇抑制はかかっていないか?かかっている場合は、どれくらいの時間かかっているか?
・傷やサビはないか?
・ビスや端子などの緩みはないか?
・フィルターはホコリをかぶっていないか?
・排気ファンは正常に動いているか?何か物が挟まっていないか?
・ちゃんと防水できているか?
・異常熱はないか?
・異音、異臭はしていないか?
何らかの理由でパワコンが停止していたり、エラー表示が出ていたりして、使ったり売ったりできなくなっている場合があります。
事例として、同じ電線内に雷が落ちてパワコンが停止し、それに気づくまでずっと売電できなくなっていたこともありました。
いつの間にか故障していて、動かなくなっていたという事例もありました。
15年~20年で、寿命による故障も起こります。
・屋根材にズレ、割れ、ヒビ、穴、傷、サビなどはないか?
・雨漏りしていないか?している場合はどこからしているか?
・屋根材の耐久性はどうか?しっかりしているか?
・影の影響はないか?
設置後すぐに異常が見つかるケースばかりでなく、数年経ってから異常が出てくるケースもあります。
・地盤はしっかりしているか?
・草などによる影の影響はないか?
・フェンスは倒れたり、穴があいたりしていないか?
・虫や動物に壊される恐れはないか?
・他、危険な要素はないか?
地上に設置する場合は、外的要因が大きく関わってきます。
パネル表面の汚れについて、各メーカーともに、雨水で流れるとうたっています。
しかし、雨だけでは落ちない汚れはあり、実際、設置後数年経ったパネルを見てみると、とても汚れています。が、発電量は落ちていません。
2009年に当社の屋根に設置した太陽光(長州産業HIT)は、2020年現在でも、発電量は全く落ちていません。
三洋HIT(現パナソニックHIT)を9年前に付け、毎日欠かさず発電量をチェックしている人がいますが、未だに発電量は落ちていませんでした。
鉄粉が舞う工業地域周辺に設置しているお客さんの太陽光(長州産業HIT)を点検しましたが、設置後5年ほど経って、発電量の低下は全く見られませんでした。
もともと発電量が下がっておらず、洗浄しても発電量が劇的に上がるわけでもなく、パネルの洗浄業は、全国でもいまいち普及していません。
洗浄工事を依頼するとなると、費用が発生しますし、屋根の場合だと洗浄に加え、足場代もかかり、洗浄工事をしたところで発電量が変わらないとなると損でしかありません。
もちろん、よほどひどい汚れがある場合など、発電に影響する場合は話は別です。
洗浄方法としては、雨が降っている日に洗うか、雨水を貯めて洗うのが良いです。水道水で洗浄すると、洗うたびにカルキが付着していき、パネル表面が白く濁っていって、発電量が徐々に下がっていってしまいます。
ちなみに、パナソニックの洗浄マニュアルでは、油脂などの汚れが付着した場合、中性~弱アルカリ性のガラス用洗剤を用いるよう記載してあります。
酸性、強酸性の洗剤はガラス表面を曇らせ、発電量を低下させる恐れがあるので使わないように注意しましょう。
古い屋根材を葺き替え(リフォーム)したり、建物を壊して建て替えたりする場合、太陽光をいったん撤去し、再度設置する必要が出てきます。
また、全く別の敷地に太陽光を移動させるケースもあります。移設の場合、引っ越しなどのやむを得ない理由がないと、FITの売電制度(2020年度では、10年間21円で売電できる制度)が取り消される場合があります。
そういったいろいろな場合で、保証が継続したりしなかったり、製造メーカーによって違いがあります。
・リフォームする場合の移設(同じ屋根に移設)
・家を建て替える場合の移設(同じ住所に移設)
・違う住所に移設する場合(離れた場所に移設)
・他人に名義変更する場合
上記4つのケースにおいて、保証が継続されるかどうか、下の表にまとめました。
移設の際に、屋根材が変わる場合は、架台やビスなどを別のものに変えないといけない場合もあります。
また、メーカーによっては、架台を全て新しく替えないと保証が継続されないメーカーもあります。
身内に名義変更する場合は、もちろん保証は継続します。
保証を継続させるには、各メーカーの施工IDが必要です。移設工事の施工不良が原因で故障した場合などは、保証はおりません。
製造メーカー名 | リフォーム の移設 | 建て替え などの移設 | 違う住所に 移設 | 他人に 名義変更 |
パナソニック | 継続 | 継続 | 途切れる | 途切れる |
長州産業 | 継続 | 継続 | 継続 | 継続 |
シャープ | 継続 | 継続 | 継続 | 途切れる |
京セラ | 継続 | 継続 | 継続 | 継続 |
三菱 | 継続 | 継続 | 継続 | 途切れる |
東芝 | 継続 | 継続 | 途切れる | 継続 |
ソーラーフロンティア | 継続 | 継続 | 継続 | 継続 |
カナディアンソーラー | 物件次第 | 物件次第 | 物件次第 | 物件次第 |
Qセルズ | 継続 | 途切れる | 継続 | 継続 |
※その他条件など
三菱:保証の継続は、移設するやむ負えない理由がある場合に限る
東芝:設置した業者が移設工事もしなければ継続されない、また、架台は全て新しく交換しないといけない
ソーラーフロンティア:昔のパネルの架台は現在製造しておらず、昔のパネルを移設する場合、新しい架台は使用できない
カナディアンソーラー:物件ごとの条件で保証の継続が判断される
15年以上前の古いパネルやパワコンの故障が最近ちらほら出てきましたが、現在、廃棄物として捨てられている太陽光パネルの量は、ごくわずかです。
廃棄後、パネルに含まれる金属やガラスの一部がリサイクルされています。
太陽光パネルは95%以上のリサイクル率が達成されていますが、パネルの撤去・回収・処分のルートはまだ確立していません。
本格的に太陽光パネルが廃棄物として出てくるのは、少なくとも2030年代以降と言われています。
①住宅の建て替えや屋根のリフォーム時
建物の解体は解体業者が行います。
その際のパネルの取り外しは解体業者、または設置業者が行います。
太陽光が問題なく稼働しているなら、その後再設置しますから、壊さないためにも設置業者に依頼した方が良いでしょうが、すでに壊れているパネルを処分する場合は、建物の撤去とセットで、解体業者に依頼した方が、工事費が安くなるかもしれません。
パネルをその他の廃棄物と一緒に捨てると、処分費用は高くつきます。
パネルの状態が良い場合、中古販売も可能です。
②パネル・機器・架台の故障や損傷
パネルは30年、パワコンは15年以上持つと言われていますが、何らかのトラブルで、数年で壊れるケースもあります。
どのパネルが壊れているのか、どのパワコンが壊れているのか、修理可能なのか、もしくは故障ではないのか、発電しなくなった理由を調べてもらうためにも、太陽光の施工業者や電気工事業者などわかる業者に撤去を依頼した方が良いです。
また、架台がサビなどでパネルを支えられなくなって、交換するのにいったん撤去するといったケースもあります。
もちろん、所有者が撤去することも可能ですが、屋根上の高所作業の場合は危険で、なおかつ電気が通ったものなので、業者に任せた方が安全です。
③自然災害によるパネルや架台の落下・破損
屋根からパネルや架台が落ちた状態ならば、所有者自らが撤去することも可能ですが、電気が通ったものなので、注意が必要です。
パネルを業者が撤去するか、家主自らが撤去するかの違いによって、法律上の廃棄物の扱いが変わります。
業者(解体業者、または設置業者、または製造メーカー)が撤去処分する場合、業者が排出者となり、太陽光パネルは産業廃棄物として扱われます。
反対に、所有者自らが撤去処分する場合、太陽光パネルは一般廃棄物となります。自然災害で壊れた場合も、一般廃棄物として認められます。
一般廃棄物は、産業廃棄物より処分費が安くなります。
一般廃棄物としての太陽光パネルは、市区町村の指示に従って、所有者自らが処理することになります。
太陽光パネルの撤去処分費は、一般平均の5kwの設置容量で、撤去10万円+運搬・廃棄5万円の合計15万円ほど見ておけば問題ないです。
撤去費:人件費+足場代+屋根修復費用
基本、5kwの設置容量で、5万円~10万円といったところでしょう。
屋根の条件や設置枚数にもよります。
屋根が急だったり、場所が狭く、パネルや架台の荷おろしが大変な場合は撤去費も増えます。
処分費:廃棄+リサイクル料+運搬費
太陽光発電システム鑑定協会によると、太陽光パネルの処分費は、1枚で1200円前後です。
この価格の条件として、
①指定場所へ持ち込む
②パネル1枚18kg以下
③結晶系の素材
といった条件があります。
該当しないパネルだと、処分費が増える場合もあります。
処分費用は各自治体によって異なりますが、パネル1枚につき、運搬費込みで1000円~2000円くらいだと思っておけばよいでしょう。
一般的な5kwの設置容量だと、5万円あれば十分です。
以上、太陽光のメンテナンス・移設・撤去処分についてお伝えしました。
今後、メンテナンスの重要性はどんどん高まっていくでしょうし、10年・20年先には、撤去・移設・処分の件数も増えていくでしょう。
パネルの撤去処分については、効率的な資源回収の仕組みができれば、処分費用も減っていくでしょうし、いずれ無料で処分できる日が来るかもしれません。
太陽光は発電した電気を家庭内で使い、使わない残りの電気を電柱に流す(売電する)ので、電気を貯めておくことができません。蓄電池は、そんな太陽光で発電した電気を貯める機器のことです。
ここでは一般住宅で使用する家庭用蓄電池の特徴、メリット・デメリット、蓄電池は得かどうか、など述べていきます。
太陽光の蓄電池は、太陽光で発電した電気を貯める他に、電気代の安い夜間電気を貯める(電柱からの電気を貯める)ことができます。
太陽光で発電した電気を貯めず、夜間電気のみ貯めるといった方法も可能です。
全負荷型とは、家庭内のすべての電気機器に連携している方式です。それに対し、特定負荷型は家庭内のいくつか限られた電気機器につながっており、その機器にしか蓄電池で貯めた電気を供給できない方式です。
家庭用蓄電池の多くは特定負荷型になります。
蓄電池には1kwhの蓄電池から、9.8kwhの蓄電池などいろいろな大きさの蓄電池があり、容量の大きいものほど多く電気を貯めることができます。kwhというのは、電気の量を表す単位になります。
蓄電池を2台以上併設することで10kwh以上の容量になります。使用するパワコンによって、蓄電池を設置できる台数が異なります。
太陽光の蓄電池には、リチウムイオン電池が多く使われています。寿命も15年以上と長いです。各蓄電池メーカーごと、10年とか15年といった製品保証があります。
電器をあまり使わない昼間に太陽光で発電した電気を貯めて、電気を多く使う夜間に貯めた電気を使用することで、節電できます。
FIT制度(たとえば2020年度では、10年間21円で売電できる制度)が終了する10年後以降、売電価格が大幅に下がります(もしくは売電できなくなるかも)。節電できれば買う電気の量が減るので10年後以降の節電効果は大です。
災害時に電気を使えるようになりますが、太陽光が発電しないと電気が貯まらないので天候に左右されます。前日に蓄電している場合はその分の電気が使えます。
電圧上昇抑制とは、電柱の電圧の方が太陽光の電圧より高くなることで起こる電気の逆流を防ぐため、パワコンが売電作業をストップさせ、いくら太陽光で発電していても売れなくなる状態のことです。もともと電圧上昇抑制が起こらない場所もあれば、起こりっぱなしの場所もあります。
太陽光で作った電気を蓄電池に貯める場合、電柱に流さないので、電圧上昇抑制が起きません。しかし、蓄電池に電気がいっぱいになって電気が貯められなくなった場合は、電柱に電気が流れていきます。
年々蓄電池の価格は下がってきていますが、太陽光のみを設置する場合と比べると、費用対効果はかなり劣ります。
一般家庭に設置する平均的な5kwhほどの蓄電池は、設置工事も含めて税別60万~80万円ほどかかります。蓄電池のみで考えると、投資回収は20年経っても見込めません。
多めの10kwhほどの蓄電池でも、1日分の電気を賄うほどの量はありません。エコキュートなどの多く電気を使用する機器につなぐと、すぐに電気がなくなります。
メーカーによって異なりますが、大抵の場合、瞬間的に使える電気の量は少ないので、複数の電化製品に同時に使うといったことが難しいです。
近年、全国で異常気象が頻発しています。非常時の電力確保として考えた場合、蓄電池は大変得な買い物になり得ます。
東北の震災時、ポットで赤ちゃんのミルクを温めるのに役立ったという実例もあります。携帯電話の使用においても、電波が届かなくても、LINEはつながるので役に立ったそうです。
経済的に考えた場合は、2010年度現在は設置しない方が断然得です。電気代の安い夜間電力が使えるから得だと言う人もいますが、太陽光を儲けとして考えた場合は全くの誤りです。
太陽光のみの設置で8年で投資回収できたとして、それに蓄電池を加えることでと、投資回収年数が15年に延びたりもします。
最初は太陽光のみの設置で、FIT買取制度が終了する10年後に値段の安くなった蓄電池を設置するという方法もあります。ですがその場合、1つ注意が必要です。蓄電池を設置する場合、大抵のパワコンは蓄電池用のパワコンに取り替えないといけなくなります(中には、蓄電池を後から設置できるパワコンもあります)。10年後であればパワコンも今より大分安くなっているでしょうが、その点も考慮して蓄電池の設置を判断すべきです。
以上、太陽光や蓄電池についてお伝えしました。
・太陽光の設置は得
・パネルメーカーは価格、発電量、保証、補償を総合的に考えて選ぶ
・屋根工事は屋根工事業者に、電気工事は電気工事業者に依頼する
・経済利益か、防災備蓄か、目的に応じて蓄電池設置を考える
より得するために、吟味することが大切です。
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